福祉住環境コーディネーター協会とは、東京商工会議所、NPO法人「生活・福祉環境づくり21」などの関連団体の支援により、
福祉住環境コーディネーター検定試験の合格者が、真に役立つ人材として認知され、活躍できる状況を目指し、
相互連携、個々のスキルアップ、情報の収集・発信等を行うため、平成14年5月に設立された団体です。
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福祉住環境
コーディネーター協会
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 −特集− FJC見学会−ケアタウンたかのす− <1>
 福祉住環境に関するお役立ち情報コーナーです。

当協会ではFJCにふさわしい各種施設の見学会をおこなっておりますが、その一環として本年(平成18年)の5月27日(土)〜28日(日)、10月14(土)〜15日(日)の2回、「在宅複合型施設ケアタウンたかのす」の体験宿泊・見学会を開催いたしました。

開催に際しては、この施設を運営する(財)たかのす福祉公社の松橋雅子理事長(一級建築士事務所を主宰、本年度より当協会の理事にも就任)に当協会会員のために特別のプログラムを用意していただき、第1回11名、第2回8名の会員の皆さんが参加し、貴重な経験をさせていただきました。

FJC検定1級公式テキストで福祉のまちづくりの模範事例として掲載されている「ケアタウンたかのす」で学んだことについて、今回の特集記事では参加者の皆さんの投稿を中心に報告させていただきます。

 
施設の概要

所在地:

秋田県北秋田市脇神字南陣場岱10

開設:

1999年4月

設計:

外山義氏(故人・京都大学大学院工学研究科教授でユニットケアの提唱者)

構成:

介護老人保健施設(80床)、ショートステイ(30床)、デイサービスの機能に補助器具センター(福祉用具の展示・体験施設)を併設。

その他:

施設らしくない生活空間の実現により2000年に医療福祉建築賞を受賞。


見学会の主な内容(第2回の実施内容)

【1日目】

□概要説明後、サポートハウス・補助器具センター・ケアタ ウン(老人保健施設等)を見学。
□夕食時には旧・鷹巣町「福祉のまちづくり」ワーキンググループのメンバーも交えた交流・懇親会を開催。

【2日目】

□住宅改修の事例を資料で事前に確認後、実際の現場を見学。
□昼食会場店の「福祉トイレ」等を見学。
□ケアタウンでグループ討議後、各自の感想を発表。



 
<1>見学会記
  【1日目】 第2回参加|中村 隆平さん(東京)
  【2日目】 第2回参加|中村 隆平さん(東京)
<2>参加者の感想
  (1) 第1回参加|佐藤 治己さん(秋田)
  (2) 第1回参加|石田 幸司さん(青森)
  (3) 第1回参加|宮崎 貴代美さん(秋田)
  (4) 第1回参加|伊東 周二さん(岩手)
  (5) 第1回参加|仲條 晴子さん(長野)
  (6) 第1回参加|中国人留学生・林分潔さん(新潟)
  (7) 第2回参加|徳原 敦子さん(秋田)
  (8) 第2回参加|菊地 和子さん(宮城)

  ※写真はクリックすると大きいサイズで見れます。
見学会記
 
【1日目】 第2回参加|中村 隆平さん(東京)
JR「鷹巣駅」

JR鷹巣駅から寄り道をしながら徒歩で米代川の土手沿いの道を東に向かい、かなり向こうの国道105号線を目指す。105号線を右に折れ東鷹巣橋を渡ると、真直ぐ行けばケアタウンだ。白っぽい建物群が見えたてきた。あれが「ケアタウンたかのす」か。
 しかしまあ、どうしたことか外部と隔てる柵もフェンスも門もない。四角四面の建物ではなく、ホール、集会室、調理室などを本体に中庭の周囲に14の“8人単位の居室ユニット”が、あたかも鳥が羽を広げるように配置されている。全棟RC造の平屋建て。

そろそろ3時半、玄関ホールから見る広い空間は、集会室のようで夏祭りや忘年会にも使うとのこと。その左奥の畳スペースに見学会参加者10人ほどが既に集合。囲炉裏端の土間をモチーフにした12帖ほどの和室調のスペースで今日、明日のスケジュールを確認後、敷地東端の『補助器具センターたかのす』を先ず見学。
在宅介護のためセンターの構成は、[1]事務スペース・[2]さまざまな福祉用具の展示スペース(ここで利用者一人ひとりの状況に合う福祉用具を試し、選びレンタルする)・[3]手すりの高さや位置、キッチンのシンクの高さなどをシミュレーションできるスペース・[4]回収した福祉用具の保管倉庫(ここには福祉用具を洗浄、滅菌・殺菌する装置も設置されている)。このセンターを開設後、住宅改修の依頼も増えたという。福祉用具を導入した後は、用具が適切に利用されているか、用具に不具合はないか、巡回チームが各戸を訪問して点検しアフターフォローしている。

補助器具センターのレンタルベッド
手すりの高さの
シミュレーションコーナー
修理コーナー

人気者のタム

次は『本館』の見学だ。色々な花や枝葉の中庭を、床から立ち上がって天井に至る透明ガラスがぐるりと囲み、それに面した廊下やミーティング・スペースはすこぶる明るく広い。雪景色はすごいだろうなと思う。庭では大型犬が走ったり歩いたりしている。車いすのおばあさんが笑顔で「タム、タム」と呼びかけたら、寄ってきてガラスの外側に鼻をこすり付けた。
利用者が居住する居室ユニットというプライベートなスペース、各ユニットにある談話室のようなセミプライベートなスペース、さらにはセミパブリックスペース、パブリックスペースというようにそれぞれの場所にメリハリがあり、訪問者も含めた様々な人が行き交い、「タム」も当たり前のように廊下を歩く。だからここは「まち」なのだ。
天井から吊り下げるペンダント型照明を和紙で被い光を柔らかくしたり、間接照明を使用したりして、全体的に落ち着いた明るさを感じた。

布製のペンダント
(スウェーデン製・ワイヤーの骨組みでぶつかっても痛くない)
照明へのこだわり

サポートハウス外観

陽がとっぷりと落ちる頃、敷地内の北側の『サポートハウスたかのす』に案内される。平屋建てが6棟、1棟当り5〜6戸の共同住宅になっている。
サポートハウスの役割は、[1]高齢者住宅としての役割(市内住民で原則60歳以上、自宅での生活が困難な方たちが住宅として利用)・[2]地域交流スペース(入居者との面会者や、福祉関係の調査・研究者などが宿泊。今夜の宿泊場所でもある)とのことである。ワンルームで、玄関・居室床・バス・トイレすべて段差無し。バス・トイレ・洗濯機置き場は広い1室で要所に手すり付きだ。90度角の二方面から(いずれも引き戸)アプローチして周回できるので、車いす使用の方も楽に動けるだろう。トイレと浴室洗い場は隣接し、床にはわずかな勾配。隔てるのはグレーチングとシャワーカーテンのみ。入浴のたびにトイレ床も掃除してグレーチングに流してしまえば、ホテルのような清潔さと快適さを常時保つことができるだろう。
部屋にはエアコンのほかにスチーム暖房が居室部分、浴室部分に設置されている。これで雪に埋まる時期を凌ぐのだ。隣の部屋にはおばあさんが一人で住んでいる。

6時半、ケアタウンから10分弱の鷹巣駅前のホテルに到着した。一階の和室が懇親会会場だ。松橋理事長、畠山さん(住民ワーキンググループの主要メンバー)と見学参加者の計10名がそれぞれ自己紹介する。コーディネートの苦労談、鷹巣町のこれからの福祉をどうするか徹底して議論した住民ワーキンググループの話など、活発なやりとりで瞬く間に時間が経過した。

 
【2日目】 第2回参加|中村 隆平さん(東京)
中庭に面したレストラン

翌日の天気も絶好調。朝食は8時から。食事の場所は『ケアタウン』内の、広く大きなガラスから中庭を見渡せるレストラン。厨房と施設内喫茶店も目の前だ。テーブルにはデンマークから直輸入したという座り心地の良い椅子が置いてある。30〜40人分ぐらいか。ぼちぼち職員の方が廊下を行き交うようになる。皆さんのあいさつは明るい。朝一番から気合が入っている。

見学者が手分けしてテーブルに真空調理されたおかずの皿を並べたり、ご飯を盛ったりして「いただきます」。食事中も意見や感想が聞けた。参加者のお一人は、「このケアタウンの“食事は一人ひとりのペースで好きな時間に好きな場所で食べていい”というのはすごい。自分が知っている施設では、すべて一定の決められた時間で処理するために、食事はてきぱきと済ませるようなサポートをしなければならない」。また別の女性参加者は「一般の施設の夕食は、施設側の都合で食事時間や時間帯、片付けを決められてしまう。食事に使う容器もこういう陶器でなくプラスチックです」とのこと。
何も考えず食べていたが、おかずごとに別々の陶器の皿に盛り付け、味噌汁は普通のお椀だ。食器の洗浄も保管スペースも、盛り付ける手間も什器の損耗もプラスチックとは全然違うだろう。利用者さんは時には食欲がなく、食べたくないこともあるだろう。ここケアタウンでは「食べないこと」も自由だという。この参加者は続けて言う。「ここは『老健』ではない。」

食事の後、ビデオにて施設の紹介、訪問看護や24時間年中無休のホームヘルプの様子、レンタル福祉用具の訪問点検の様子、そして松橋理事長の手掛けた改修事例を2件解説していただいた。車に分乗して、その事例の一つのお宅を松橋さんの案内で拝見しに行く。
「このお宅の主は今入院中で、留守宅を見せていただくことになっている」という松橋理事長の話。高積雪のこの地域で、障害を持ち、車椅子で一人住まいをする高齢の女性が、普通に生活するための工夫を見せていただく。敷地に入って数歩のところから、玄関までの間をスロ−プ工事し、かつスロープに降雪を融かす細工を施す。こうすれば雪かきの協力する近隣住民の負担も大幅に減るので近隣関係も疲弊せず維持でき、地域とのつながりが保てる。玄関ホールの一部を改造して段差解消機を設置する。キッチンシンク、洗面化粧台、トイレ、収納など住宅設備の高さを調整する。『補助器具センターたかのす』が大いに役立ったことだろう。  
建具の開き戸は引き戸にし、かつ有効開口幅の確保のための工夫をしている。壁を抜いてトイレ・洗面所への動線の短縮と単純化をする、各部屋・廊下の段差を無くす、など。お住まいの方の使える身体機能を使う、ご本人に合わせた住宅改造になっている。

昼食後、「ケアタウン」に戻り、多目的スペースに再び集合。
 松橋理事長を交えて見学会参加者との一問一答の時間になった。

住宅改造のときに何を一番心掛けるか?
「その人にとって何が大事なのかを知ろうとするときが一番緊張する。他人からはゴミとしか思えないものが、かけがえのない物だったりする。」
認知症の方の徘徊については?
「施設内のドアのカギは誰でも内側から開けられ、外出もできる。」
「安全ベルト(拘束具)は見たことはあるが、ここでは使ったことがない。」
なぜそれができるのか?
「入所者1人に対して1.7人のスタッフ。マンパワーが手厚いので対応できるのだと思う。」
住民ワーキンググループについて
「ワーキンググループではぶつかった。目標点に登るのに、道はいろいろあった。」
「ワーキンググループの年長者たちは『生きる』ということを教えてくれた。」
「作ることはできるが、維持し続けることは難しい。いまやっていけるのは地道にワーキンググループをやった人たちがいるから。」

今回の見学では、住民が議論を尽くして検討に検討を重ねて建設した施設を見せていただいた。同時に建築物に命を吹き込み、継続して維持運営する人たちの思いや意志、ここで働く人たち、住む人たちの所作、振る舞い、表情も見せてもらったことに感謝したい。


≪FJC見学会−ケアタウンたかのす− <2> :参加者の感想≫

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