福祉住環境コーディネーター協会とは、東京商工会議所、NPO法人「生活・福祉環境づくり21」などの関連団体の支援により、
福祉住環境コーディネーター検定試験の合格者が、真に役立つ人材として認知され、活躍できる状況を目指し、
相互連携、個々のスキルアップ、情報の収集・発信等を行うため、平成14年5月に設立された団体です。
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福祉住環境
コーディネーター協会
〒100-0005
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TEL:03-3283-7480
FAX:03-3283-7488
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 −特集− FJC総会記念講演会 <1>
 福祉住環境に関するお役立ち情報コーナーです。

去る5月18日(木)FJC協会総会にて、記念講演会が開催されました。
今回は、福祉・地域で活躍されているFJCの方に、FJC活動を始めたきっかけ、現在の活動などをお話いただきました。

 
<1>私のFJC活動
   北秋田市 財団法人たかのす福祉公社 理事長 松橋 雅子氏 
<2>地方都市の高齢者介護―団塊の世代の思い
   社会福祉法人はぴねす福祉会 理事長 長野文彦氏
私のFJC活動 −北秋田市 財団法人たかのす福祉公社 理事長 松橋 雅子氏−
 
「福祉のまちづくりワーキンググループ」の発足
松橋 雅子氏
松橋 雅子氏

私が住宅改修を始めたのは、鷹巣町で平成3年に「福祉のまちづくり」という活動が始まったのがきっかけです。
当時の市長のもと、現場の声を知るために、様々な方の声を聞きました。
70を過ぎた高齢の方から「老後が不安」と言う声、既に老後ではありますが、さらに今後が不安だと言うことです。

鷹巣町では、高齢者が高齢者を介護する「老老介護」など高齢化は既に進行していました。
秋田県の人口は、平成12年の段階で、122万7000人65歳以上が19万1000人と15.5%、平成13年の鷹巣町では、人口2万2000人の町で、高齢化率が17%を超えていました。現在は、市町村合併で、北秋田市となりましたが、平成17年度の高齢化率は34%。旧鷹巣町は、合併前は29%でした。
鷹巣町の商店街では、殆どが高齢者で、病院帰りに薬を貰って帰る高齢者がちょっと、一休みしているといった状況でした。

そんな中で、平成4年6月に、「福祉のまちづくりワーキンググループ」が発足しました。最初集まったのは60人。委嘱状もお金も頂かない、地域の住民が地域の問題として取り組む集団でした。まずはじめに、「地域の悩みを集める」ということからはじめました。

アンケートではなく生の声を聞く

集められた悩みを行政に任せるのでなく、我々住民自身が整理し、お金を掛けなくても、住民が工夫すれば出来ること、行政と住民が手を携えればできること、地域の企業と連携すれば出来ることなど。どうしても予算化しなければ出来ないことは、行政に提言する、提言する方法も、住民で出来ないことだけを提言するルールを作りました。

行政はよく、地域の悩みを調査するために、アンケートという方法を取りますが、実際に、私たちは、住民の皆さんの所に出向いて悩みを聞くということから始めました。

男性が女性を介護している方のお話で「婆さんはこれまで、田んぼや畑で本当に頑張ってくれた。子育てが終わってやっと安心してたら病気で介護が必要になった。もし、自分が病気になったら、この婆さんは誰が見る?嫁は生活の為に働きに出ている。嫁や息子に面倒を掛けるわけにはいかないから、仕方ないから特養に行くしかないだろうな。でも自分が元気なうちは、なんだってやるよ。でも、子どもや孫がすぐそばに居る自分の家で暮らしたいのが本音だ」この声が私たちのスタートです。

安心して自分の家で暮らし続けるたに必要なもの

私も建築の仕事をしていながら、住環境に関して、建築の分野の方が関わりを持つと言うことを知らなかったのです。

この頃には、病院から退院するパーキンソン病の女性がいて、秋田のリハビリの病院から、立ち会ってくれといわれて住宅改修に立ち会いました。この時は、どうやっていいのかわからない手探りの状態でした。

病院から、PT・OT・ワーカーの方が来て、この女性がどういう移動方法をとるのか箇条書きの文書でくれました。この方の家の間取りとかはありませんでした。この時に建築の専門家が一緒に立ち会うことで、間取りがあることで、この方は何処で食事をして、寝室がどこにあってということがあれば、動線が見えてきます。この方はただ寝てだけ過ごすのではなく家の中を移動するのに間取りが見えてこない。このままの箇条書きの文書を大工さん渡しても大工さんに分かるわけが無いと思ったんです。
ここにこそ、私たち建築の専門家が関わるべきと思ったんです。でも、どうやってかかわっていいのかが分からなかったんです。
これが、ワーキンググループのスタートしたはじめの年でした。

ワーキンググループに参加をして、住環境の事を考えるのですが、住環境だけ整えばいいのかというと、それだけではない。家で暮らし続けるための不安は、住環境だけではなかったんです。環境以外の動作で足りない部分を誰が補ってくれるかのというと、それまでは、嫁、息子、孫だったりしたわけです。家族が働いている間には、社会的なサービスが入ってきて、社会的サービスと住環境が合いあったうえで初めて、ここで暮らす安心ができるんだろうなって感じさせられました。
スタート時点ではそれも気付かずにいました。

ワーキンググループでの活動

ワーキンググループでは、住民できることは自分達でテーマを設け、ヘルパーが増えて欲しいとか、自分達で見守り活動をしようとか提案をしました。それとともに、予算が必要となる場合には、行政に提案し、様々な政策に活かされて、様々な社会的サービスが増えてきました。町の政策にパートナーとして参加してきたと言えます。

ホームヘルパーに関しても、当時、ヘルパーは7名しかいませんでした。実際に、病院からの退院する際に、施設入所はままならない、鼻に経管チューブをとおしたまま、家には帰らなければならないという現状がありました。役所の人も、実際に私たちと一緒に現場で自分の目で見ることになって、とにかくなんとかしなければということで、マンパワーの充実、ヘルパーの増員をしたわけです。このヘルパーを増やす時の一番の問題で「親の面倒を他人に任せるのか」という本家の反発もあったんです。その中で、サービスを受けることは恥ずかしいことではない、ということを地域の人たちが伝えることで受けいえられる環境が整ってきたんです。地域の環境が整ったことで、ピーク時は50人を超える常勤ヘルパーおりました。

24時間体制も整いました。これは、実際にヘルパーが行っているところで、姉が妹を介護しているケースで、介護をしている姉がヘトヘトになっている現状を見て、ヘルパーが何とか夜間も付いてあげたい、行政もそれを認めて欲しいとい声を上げたことで実現しました。

ヘルパーを増やすには、ヘルパーの雇用条件、身分保障をする必要があると言うこととで、町は、社会福祉協議会にヘルパー事業を委託し、役場職員と同等に近い形で4年制の福祉大学を卒業した男性も、郷里に帰ってヘルパーとして働ける環境を作ろうお給料の見直しをしたところ、続々と卒業後にヘルパーとして帰ってくる男性が増えました。社会福祉協議会の常勤ということで男性も増えましたが、もっと喜んだのは利用者でした。女性の利用者は若い自分の孫くらいの男性が介護に来てくれると。男性の利用者は、たまには男同士の話をしたいじゃないかと。

都心部では、ボランティアというと若い方も多いですが、鷹巣町では、若い人たちは働くことに一生懸命で、高齢者が参加する方が多いです。そんな中で、皆さんがおっしゃられるのが、「自分達がだまっていたって出来ないし、必要なものは必要と声を上げよう。声を上げる場が無かった。ワーキンググループは、堂々と住民が声を出せる場なんだと。」
自分達の声が政策に反映されることで、自信と誇り、責任が生まれました。
「今は誰かの為、将来は自分の為」が合言葉のようになっています。

「住宅リフォームアドバイザ」の制度と役割

介護保険は始まる前までの9年間は、ワーキンググループの活動はボランティアでした。先ほどの総会でもありましたが、悪質リフォームに対する件がありましたが、介護保険の導入の背景や内容を理解していない専門家が、介護保険の導入後、いきなり参入してきました。福祉の制度を知らずに、住宅改修だけにとらわれてしまうと良かれと思ってしたことも仇になることもある。住宅改修は、介護サービスと一緒に組み合わさってこそやっていけるものですし、これに関してケアマネージャーが重責を担って苦しんでいます。

この総会には、福祉住環境コーディネーターの方がいらっしゃるわけですが、組織の中で活かしてやっている方もいますし、お仕事に活かしているかたもいらっしゃると思うんでけど、中には、先にお金ありきでこの仕事に関わってきた方も、もしかしたらいたのかもしれません。そういった事に対して、協会や関係者が、いかに質の高いアドバイスやサービスを提供するかということを皆さんと話し合っていきながら制度に対して提案していかなければならないかと思います。事前審査になりましたが、どれだけの地域で本当に住宅改修に対してご理解を得た人が関わっているのか疑問もあります。都内ではNPOなどで実際に実務に携わった方がケースがあると聞きましたが、地方ではそうなっていません。
こういったことにも皆さんと話し合い提案していかなればいけないと思います。

ここでは、私が9年間ボランティアで続けて行政と協議して出来た「住宅リフォームアドバイザ制度」についてお話します。
利用者がケアマネに相談して環境なのか、介護サービスなのかケアマネだけで判断することで、利用者の本当のニーズを吸い上げられないケースがあります。
鷹巣町では、利用者から介護にケアプランの相談があると、ケアマネと福祉用具プランナーが訪問します。住改修が必要な場合は、センタにいるリフォームアドバイザに連絡が入ります。サービスの組み立てはケアマネがしますが、OP・PT、ワーカー、設計担当が入ってチームを組みます。今10人建築士が登録していて、研修をしっかり受けた人が現場に行こうということで、地域で名のある工務店の社長サンも半年間は研修期間ということで、現場に連れ回します。

私たちは、思いや志だけではできません。FJCとおなじように常に、自分達でスキルアップする必要があるし、住環境だけでなく、福祉用具も知識も持たないといけないいうことで、様々な職種の人と研修をして、住宅改修に使えるお金は上限20万円ではあるけれど、これが在宅で暮らすことのきっかけになるんだ。私たちはそのスタートラインに立つ大事な役割を担うという自覚を持って現場に行っています。
又、ケアマネ、建築士、施行業者が入って、建築の着工、工事途中の監理、完成確認、1,2ヵ月後のフォローアップと言う形で事例研究会をしています。
失敗事例も含めてやるですが、一番良かったのは、同じ地域で、ケアマネ、大工さんがお互いに顔が見えることです。特に大工さんからは、自分達の今までのノウハウが活かされ、ケアマネ、ヘルパーと顔見知りになり、何かあったら直接声をかけられ、若い女性から声を掛けられる事も喜びの一つということです。(笑)

制度をよく知り、当事者の声を活かす

建築の仕事は、一つの家を創るのに、色んな職種が集まります。土木工事、木工、屋根工事などあります。建築士は、利用者の代理人として、コーディネートすることだと思っています。FJCも同じで、オーケストラの指揮者、サッカーの司令塔的な役割で、チームを組んで、利用者のニーズをキャッチして、ケアマネさんたちと調整していくことだと思います。しかし、実際に、利用者のニーズを聞けているのか、キャッチできているのかなと。住宅改修をする時にはお金が掛かりますので、当事者だけでなく、家族からも要望が出てきます。私たちは出来るだけ、当事者の声をキャッチして家族も合意できるよう、複数のプランを持っていくようにしています。

ここで一人の方の事例をお話します。
旦那さんと同居していて、交通事故で脊髄損傷になってしまった女性の方のお宅です。車いすの生活をされる中で、生活の殆どが旦那さんの介助が必要な中、別の病気で入院した時に、旦那さんが亡くなってしまい、一人暮らしになりました。病院から退院して欲しいといわれた時に、センターに連絡がありました。
介護保険も使えましたが、損害保険も使えたので、少し大きな改修工事となりました。
秋田は、雪の降る地域なので、入り口はお雛様のひな壇の様に、段々となっています。入り口に風除室もつけるなど、雪と風を避けるために秋田では珍しくないケースです。こういう状況で、この女性はどうやって車いすで家に入るのか?
又、この時彼女が一番に望んだのは、一人暮らしになるんだから、自分の食事は自分で作りたい、自分でトイレに行く、そして外に出られるということでした。当時、洗面台は洗顔も出来ない状況。脊損で座位が保てないのに、背もたれのないシャワーチェア。トイレは汲み取り式の洋式便座。
リフォームアドバイザが現場に行き、福祉用具プランナーと大工さんと私たちとで実際に彼女にデモンストレーションをやって頂きました。
実際にどうやったかというと、入り口に段差解消のスロープを設置しました。ここは雪が降りますので、屋根がついてないと凍って入って行けなくなるので、地下水を使った融雪パイプを使ってます。そして段差解消機。カーペットも私たちは滑る危険があるので止めて欲しいといったのですが、冬だけはどうしても寒いので、テープで滑り止めをするなどしてもらっています。キッチンは、シンクと天板のアルミ、ガスレンジは既成品ですが、枠の部分は大工さんに作ってもらい、合計21万円位で納まっています。ご本人が自分で食器を洗うことが出来る、下ごしらえが出来る、お鍋の中が見える高さを測り、キッチンを改修したことで彼女が時には私に食事をご馳走してくれるといっています。
彼女は、配食サービスも利用しています。私が彼女に自分でもつくれるんじゃない?と聞くと、「たまには外で食事をしたいけど鷹巣には、車いすで入れるレストランは1件しかない。だから、レストランにいけないなら、配食サービスで、他の人が作った食事を、来客用の皿に盛り付けて、レストランに行った気分を味わいたい」ということでした。
洗濯も息子さんが乾燥機つきの洗濯機を買ってきてくれたんですが、洗濯物を取り出せるようになったことで、自分が干すことが出来て、乾燥機は要らなかったと言います。
お風呂は、当初怖いから要らないと言われました。しかし段差を解消して。自走式の車イスを1台購入して自分でシャワーを浴びることが出来ました。お風呂はデイサービスでつかる事が出来るけど、夏は自分でシャワーだけでも浴びたいということもあり、段差解消をして、シャワーをつけた事は正解でした。トイレは、ポータブルトイレを使うことが移乗は楽だけど、自分でトイレに行きたいということで、トイレは寝室から直接アプローチできるようにしました。洋服も自分が着たい洋服を自分が選ぶことが出来るという為に、ハンガーの工夫をすることで、自分でおしゃれをして街にも出かけています。

こういった喜んで貰える仕事ができたことで、プライド・自信に繋がり、又次のステップアップできる。しかし、住宅改修は専門家がどんなにいいプランだと満足しても駄目で、利用者が住宅改修と介護サービスを上手く組み合わせて利用して、本人の生活のためになるために、私たちは、介護保険の制度や地域の支援制度を知ったうえで、住宅改修の目的を当事者や地域に広く伝える役目も担っているのではないかと思っています。

社会資源としての住まいを作る

住まいは大事な社会資源だと思います。介護が必要な時、特養や老健など施設を選ばないといけないという環境は、住環境の未熟な部分と地域のサービスが整っていない証ではないかと思います。高齢者、特に地方の高齢者は、自分が死んだ後の生命保険にはお金を掛けるんですが、自分の住環境は後回しになることが多いんです。家族に気兼ねしないでお互いを認め合える関係、地域に貢献できているという実感を持てる環境を支えていくのは、若い世代や専門家であったりします。高齢者には、我慢して10年暮らすよりも、快適にやりたいことをやって楽しく10年過ごしましょうと言って回っています。

住環境が整っていくことで、施設を作らなくても社会資源は出来ていくと思うし、私たちはそういったことに力を注いで生きたい。そして地域ごとの悩みも、FJCの集まりなどで情報交換ができたら素晴らしいと思います。

 

松橋 雅子氏 プロフィール
秋田県鷹巣町生まれ。
1992年に一級建築士事務所M's設計室主宰。
鷹巣町「福祉のまちづくりワーキンググループ」での「手すり取り付け隊」や「住宅リフォームアドバイザチーム」での福祉公社への窓口開設など、一貫して「家」をキーワードに活動。2005年2月から現職。全国的に有名な「ケアタウンたかのす」の運営責任者としても活躍中。
 
≪FJC総会記念講演会 <2> :地方都市の高齢者介護―団塊の世代の思い

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