福祉住環境コーディネーター協会とは、東京商工会議所、NPO法人「生活・福祉環境づくり21」などの関連団体の支援により、
福祉住環境コーディネーター検定試験の合格者が、真に役立つ人材として認知され、活躍できる状況を目指し、
相互連携、個々のスキルアップ、情報の収集・発信等を行うため、平成14年5月に設立された団体です。
トップページ
オンライン入会のご案内
会員専用コンテンツ
・お知らせ
・会員掲示板
・FJCメールマガジン
・登録情報確認
・登録情報変更
・地域別
 理由書作成者情報
・福祉用具掲示板
福祉住環境
コーディネーター協会
〒100-0005
東京都千代田区
丸の内3-2-2
東京商工会議所ビル3F
[ 案内図 ]
TEL:03-3283-7480
FAX:03-3283-7488
MAIL:info@fjc21.org
 −特集− 西日本国際福祉機器展 PPC2005 <2>
 福祉住環境に関するお役立ち情報コーナーです。

1999年からスタートした『PPC 西日本国際福祉機器展』。
今年は「ねんりんピックふくおか2005」との同時開催で、11月13〜15日の3日間、福岡・小倉の西日本総合展示場で行われました。
九州地方では最大級の規模を誇る同展。年を追うごとに出展者数・来場者数とも着実な伸びを見せ、7回目となる今年は約120社・団体、42,358人が来場しました。
協会では、一昨年から引き続いて講演会とタウンミーティングを実施。高室成幸氏(協会理事)の基調講演に続いて、「地域で期待されるFJC活動を考える」というテーマで、3人の専門家が意見を述べました。

 
<1>基調講演
  「介護保険制度改革〜自立支援と介護予防の視点〜」
  「認知症の方のための住宅改修〜考え方と事例研究〜」
<2>タウンミーティング
  「地域で期待されるFJC活動を考える」
タウンミーティング 「地域で期待されるFJC活動を考える」
 
今までの経験を活かすことがFJCのプラスになる
宮竹 美絵子氏

宮竹:学生の時に交通事故に遭って脊髄を損傷して以来、車いす生活を送っています。 1年半ほど入院治療、リハビリをした後、もともと建物に興味があったので建築設計事務所に入社しました。公共の建築物を設計することが多かったのですが、その図面を見ていると、広ければいい、機能的に揃っていればいいというような「とりあえずのユニバーサルデザイン」であることに気づき、非常に疑問を感じました。 「どうにかしたい」「もっと自分自身に知識をつけなければ」と思っていたとき、ネットでFJCの資格を知りました。3級から勉強を始めて1級まで取りました。 今は、個人で事業を行っています。主に、県や社会福祉協議会、市などから依頼されたり、山口県の福祉のまちづくり条例設計マニュアル改訂委員会の委員や、個人住宅の初期のラフプランからトータル的なアドバイスなどをやっています。

武藤 俊之氏

武藤:20年ほど前から、高齢者や障害者の方の住宅に取組んでおりまして、現段階で2000件近く関わってきました。 今までの経験を活かして啓蒙活動してもらえないだろうかと、ある先生に言われたんですが、私は大工を10年以上やって現場から入った人間なので、話すことはあまり得意ではないんですよ。でも、私の経験と知識が全国の工務店や困っている方々のヒントになれば……と思い、「武藤塾」というものを始めました。 今年で5年目になるんですが、いろいろな知識を朝から晩までみっちり学ぶ4ヶ月コースで、今まで住宅改修させていただいた方の現場見学などもやっております。

高室:宮竹さんの場合はコンサルテーション、武藤さんの場合は施工という立場なわけですが、ご自分の経験を仕事に活かすことについて、いろいろなハードルや戸惑いなどはありませんでしたか?

宮竹:一番困ったのは、『仕事』として考えていただけないことでした。 「意見を聞かせてほしい」と言われたので、私なりに調べて図面を書いたり、具体的な資料を提出したりしたんですが、「いやぁ、助かったよ」とボランティア的に取られて仕事に繋がらないケースが多かったんです。相手にとっては、障害のある人にモニター感覚で聞いているだけなんですよね。FJCの位置付けがはっきりしていないこともあるのかもしれませんが……。

高室:障害のある方に意見を聞くと、ご自分の感想としては答えてもらえますが、具体的な提案ができる宮竹さんのような方は、なかなか多くないんですけどね。 それを、どのような切り口で仕事に変えていかれたんですか?

宮竹:事業者として登録して、「これは仕事として受けます」とはっきり先に伝えました。そこで、初めて「タダで聞いていいことではないよね」と気づいていただけました。

高室:先程、宮竹さんからFJCの位置付けが明確でないこともあるのでは? との指摘がありましたが、武藤さんはFJCとしてプラスの付加価値を付けて仕事をされているんですよね。施主さんがプラスαに抵抗を受けていると感じることはありませんか?

武藤:私の場合は「形」になる仕事なので、そういったことを感じたことは、今までありませんね。 施主さんから、こういう生活をしたいがどういう施工方法がありますか? と尋ねられたときには、私の経験から設計外でプラスαの説明をしているんです。そうすると、非常に納得していただけます。

高室:宮竹さんはピア・カウンセリング(※1)の活動もされていますが、代弁者的な形で仕事をされることというのはありますか?

宮竹:同じ脊髄損傷の女性の住宅改修の相談に入った時、最初に設計者が持ってきた図面を見て「これは使えないな」と思ったんです。 それで、施主さんとお会いしていろいろなお話を聞きましたが、やはり、トイレや入浴方法などはプライバシーに関わることなので、なかなか話せないんですよね。 言いたくない気持ちもよくわかるので、設計者には席を外してもらい、女性同士で話をしてプランを練り、必要なことを設計者に伝えるということはしていますね。

武藤:私も、女性の方の場合、細部に話が及ぶと引かれてしまって、困ることがあります。そういう場合、聞き出すのではなくてですね、今までのいろいろな事例写真をお見せしながら、話をするようにしています。

高室:FJCの業務の中には、相談援助技術も含まれていますよね。設計者などにはできない、FJCならではの技術であると思います。こういう面でFJCの知識を活かしてもらいたいですね。

FJCの知名度を上げて、影響力のある存在に
高室 成幸氏

高室:次に、会場の皆さんからの質問を受けながら、具体的な改修について話を進めていきたいと思います。 宮竹さんは、多目的トイレの設計にも携わっていますよね。

宮竹:ええ。私が、今一番力を入れていることです。 先日も、使えるトイレがなくて、車で10分ほど離れたところにあるトイレまで行かなければならないことがありました。トイレのためだけに移動するというのは、非常に無駄な時間と労力を使います。障害のある方が社会参加するためには、どこに行っても行けるトイレというのが非常に大事ですね。 それと、デザイン性。どこの多目的トイレも、機能的なだけで落ち着けません。どうしてもトイレに時間がかかりますので、見た目や触った感じなど、落ち着ける環境というのは必要だと思います。この思いから、私が関わった多目的トイレは、内装にもこだわりました。 また、食事をする所でトイレへ行くことができるというのも重要なことです。 腹圧などでパウチが飛んでしまうこともあるオストメイト(※2)の方は、特に設備が少ないので、レストランではお肉を食べないとか、食事に気を遣われています。 みんなが同じ場所で食事を楽しめる――そういうところをもっと増やしていきたいと思っています。とにかく、環境が整っていることが非常に重要なんです。ソフト面、ハード面とよく分けますけど、私はまずハードありきじゃないかと思います。でないと、社会参加できませんので。

来場者:多目的トイレの基準は、とても複雑だと思うんですが?

宮竹:ええ、本当に難しいです。 視覚障害者の場合、最初に場所を教えてもらって、手探りで一般用のトイレを使う方が多いようです。そのために、いろいろなボタンが揃えられているといいのですが、視覚障害の方に使いやすいといわれている靴べら式のボタン、あれは車いすユーザーや手の力が弱い方には硬いので使いづらいんです。私も苦手ですね。 リウマチの方の場合には、握ることが難しいので、手すりを棚状にするような工夫も必要になります。 便器の高さも難しいんです。一般的に車椅子用とされているものは、41〜2cmですが……。 私は、多目的トイレを一つ作るのではなく、すべてのトイレをほどほどに使いやすくしていくことが、本当のユニバーサルなのではないかと思います。

来場者:市などに書類を提出しようとしても、必ず「ケアマネジャーに相談してから…」と言われてしまいます。こういった対応を変えるにはどうすればいいでしょう。

武藤:私も最初は苦労しましたよ。 事例をどんどん提出して、市に行く回数を増やして顔を覚えてもらいましょう。ケアマネジャーよりも信頼されるようにしていくことが、対応を変える一つの方法になると思います。 もちろん、ケアマネジャーとうまく付き合うことも大切です。ケアマネジャーに市へ電話一本入れてもらえるように頼めば、スムーズに進むことがありますから。

高室:では、最後に地域から期待されるFJC活動はどういったことをしていけばいいでしょうか。

宮竹:資格を持っているだけでは意味がないと思います。 これからは、知名度を上げていかなければならない時代だと思いますので、そのために、協会の会員同士で連絡を取り合い、日々勉強していくことが大事なのではないでしょうか。 「さすがFJCは違うね」と言われるような活動を進めていくことが必要だと思います。

武藤:私が心がけていることは、「初心」です。 ついつい経験が豊富になってくると、その方の要望ではなくて自分の意見を押し付けるような提案をしてしまうことがあるかと思います。相手が何を望んでいるのか……ということをしっかり聞く耳をもつ。これを忘れないことが必要だと思います。

高室:会場の中には、工務店の方、主婦の方、学生の方、いろいろな方がいらっしゃるかと思います。 これからの高齢者、また障害者の生活を考えていくうえで、FJCの知識がとても重要になってくるでしょう。 ですから、私はまずFJCが連携をとり、地域の中に広がっていく。ネットワークづくりが始まっていくと、社会的にも影響力のある存在になっていけるのではないかなと思います。

※1 ピア・カウンセリング
  ピア(Peer)とは仲間という意味で、何らかの共通点(例えば、障害)をもつ者同士が、対等な同じ仲間として助けあうカウンセリング方法の一つ。
※2 オストメイト
  人工膀胱や人工肛門(ストーマといいます)を保有している方で、便や尿を溜めておくための補装具「パウチ」を腹部に装着しています。
 

高室 成幸氏 プロフィール
東京・ケアタウン総合研究所所長
『新しい福祉人材育成、地域支援システムの構築』を中心に活動中。当協会理事・研究企画委員長

武藤 俊之氏 プロフィール
福岡・(有)武藤技研代表
1999年から工務店向け高齢者・障害者の住宅専門養成講座『武藤塾』を主宰

宮竹 美絵子氏 プロフィール
山口・1級福祉住環境コーディネーター・インテリアコーディネーター
2003年よりフリーで公共建築物等のUDについてのアドバイス、プランニング、多目的トイレの設計、FJC検定試験対策講座講師、障害者へのピアカウンセリングで活躍中。山口県福祉のまちづくり条例設計マニュアル改訂委員会委員
 
≪西日本国際福祉機器展 PPC2005 <1> :基調講演≫
資料提供:ふくしチャンネル

copyright(C)2002-2012 福祉住環境コーディネーター協会
―- 個人情報の保護に関する基本方針 ―