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| 武藤 俊之氏 |
認知症は、以前まで痴呆といわれていましたが、何もできなくなる状態ではありません。
「何らかの脳の障害によって日常生活に支障をきたし、知的な機能が低下した状態」と定義されています。
実は、私の母も認知症です。
一番最初に言われたのは「私の通帳どこやった?」「大切にしていた昆布を盗ったろ?」
当初、認知症の知識がまったくなかったので、非常に戸惑い悩みました。現在は、認知症に関してさまざまな研究がされてきて、認知症を理解するための原則も発表されていますよね。こういう原則がわかってから、私も母への対応の仕方を変えることができました。まず、認知症に関して正しい理解をすることが必要だと思います。
それでは、東京のとあるグループホームの事例をご紹介しましょう。
3階建てで1階が支援センター、2〜3階がユニットになっています。
驚いたのは、廊下です。手すりがないんですよ!ここのグループホームは歩行に問題のない入所者が多いので、手すりをつける必要がないから――と職員の方は説明してくれました。
これは、私の失敗例なんですが、認知症の方の家でトイレの出入り口前に縦手すりを付けたことがあるんです。手すりで体を支えながら、トイレのドアを開けた方がいいだろうという提案で。
ところが、縦手すりをドアノブと間違えてしまって、開けようと奮闘されているうちに……。
このとき、比較的元気な方の場合にはむやみに手すりをつける必要はない、と学びました。もちろん、上下運動の必要な場所や、浴室などの安定感の悪い場所には、しっかりと取り付けなくてはなりませんよ。
私がこのグループホームで一番感心したのは、「どこからでも何気ない見守りができるようにしている」という工夫なんです。
例えば、個室のドアは一部分がすりガラスになっているんですが、2cmくらい普通のガラス面がとってあるんですよ。ドアをガラッと開けなくても、その2cmの部分から部屋の中が少し見えるようになっているんです。
それから、ダイニングとキッチンのフロア。そこには、格子がとりつけてあります。透明のままの部分と、スクリーンを貼った部分をつくり、玄関が見えるように、誰かが出て行ってもすぐわかるように工夫されていました。
これは、他のグループホームの事例です。
1階にトイレが1つしかないので、使用中だと他の方は待たなくてはなりません。うろうろしているうちに失禁してしまう方がいたため、誰かがトイレに入ったときに「故障中。どうぞ2階のトイレをお使いください」という張り紙をしてみたところ、ちゃんと2階へ行ってもらうことができたんだそうです。
また、よく徘徊される人に対しては「ちょっと待ってください!○○さん」と玄関前に張っておいたら、待ってくれたり、引き返してきてくれたりするという話も聞きました。
文字で報せるというのも、1つの有効な方法ですよね。これらは、家庭内でもできる工夫だと思います。
認知症の方のための住宅改修で一番大切なことは「やさしく見守ること」なのではないでしょうか。
認知症の症状・状況、その方の生活パターンを確認することによって、どのように見守り、どのように住宅改修すればいいかが見えてくると思います。
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家庭内でもできる工夫
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| 【1】 |
手すりは最小限の場所に |
| 【2】 |
階段の踏み板には目印をつける |
| 【3】 |
トイレ・洗面場所の表示は、文字で大きく、わかりやすく |
| 【4】 |
室内の照明を調光スイッチに変え、昼夜の感覚をつくる |
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楽しい時間・好きな空間を創り出す |
| 【6】 |
本人が落ち着くまで徘徊できるような安全な環境を整備する |
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