福祉住環境コーディネーター協会とは、東京商工会議所、NPO法人「生活・福祉環境づくり21」などの関連団体の支援により、
福祉住環境コーディネーター検定試験の合格者が、真に役立つ人材として認知され、活躍できる状況を目指し、
相互連携、個々のスキルアップ、情報の収集・発信等を行うため、平成14年5月に設立された団体です。
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福祉住環境
コーディネーター協会
〒100-0005
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東京商工会議所ビル3F
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TEL:03-3283-7480
FAX:03-3283-7488
MAIL:info@fjc21.org
 −特集− 「女性FJCへの期待とその役割を考える」集い <2>
 福祉住環境に関するお役立ち情報コーナーです。

去る2月12日(土)東京・港区「女性と仕事の未来館」において、FJC協会主催の(後援:東京商工会議所)基調講演とタウンミーティングが開かれました。
テーマは「女性FJCへの期待とその役割を考える」。FJC協会理事でもある3女史が、協会を支える立場から女性FJCへの期待を交えつつ、FJC活動の必要性や可能性、課題等について論じました。

 
<1>基調講演 −介護・住環境と女性の視点−
<2>タウンミーティング −FJCが暮らし方・住まい方に果たす役割−

※写真はクリックすると大きいサイズで見れます。
タウンミーティング −FJCが暮らし方・住まい方に果たす役割−
 
『住まい方』のアドバイザーが求められている

高室:人生100年時代を考え、自立した生活を送る場合にはどうすべきかについて、住まい方、暮らし方、集い方という3つの切り口から考えていきたいと思います。
まず、住まい方。ハード面から考えるのか、ソフト面から考えるのかということがあると思いますけれど。

<パネリスト:樋口 恵子氏>

樋口:「樋口さんは割といい家に住んでいるけれど、なぜか住むと倉庫風になる」と言われます。
人生70年生きてきた中で書類、本の山が累積していて、私はおそらくもう少しすると、家の中の荷物にけつまずいて大腿骨を複雑骨折すると思いますね。
そういった意味で、私は住まい方が下手です。これからの私の住み方に関するアドバイザーを求めるとしたら、「捨てっちマン」というか。「捨て方エイド」というか。
私は高齢者にとって大事なことは、「自分にとって大事な物をどのように選び取り整理するか」だと思うんです。
これがFJCの役割になるかどうかはわかりませんけど、世の高齢者たちは物の始末に困っているということを理解してほしいと思います。

天野:うちのスタッフに聞く限りでは、独居の高齢者のお宅は荷物で埋まっていることが多いようです。
今の高齢者世代は物を捨てられないというより、物を大事にしなければならない時代を暮らしてきた方なので、捨てきれないという方もいらっしゃいますよね。
それと、だんだん身体が不自由になって、手の届くところにすべての物を置いておきたいと思っている方も多いんです。
あと、認知状態の低下があると、順序立てて整理する力が落ちてきますので、いかに安全に必要な物を整理しておく環境を作ってあげるか、ということは大事かなと思っております。

溝口:実際に住宅改修を進める中でも、まず「荷物をどう整理整頓しましょうか」というところから話に入っていかないと、決していい結果は得られません。その時に「整理しやすいような押入れ、収納というのはあるんでしょうか?」とよく聞かれます。
整理しやすい収納というのは、まず何をどこに置くかということを決めることが必要です。そのうえで、入れるものの寸法に合わせて奥行きを設定するとか、表面に扉をつけてしまうと中が見えないので扉をつけないようにするとか。
どういうアイデアで整理整頓をするかというのは、住宅改修の一番最初にくるポイントではないかなと思います。

『暮らし方』の前に考えるべきこととは

高室:シニアルネッサンス財団が「定年後の自由時間は11万時間ある」という数値を出しています。そういった中での住まいを考えた時に、今の住まいをリフォームした方がいいのでしょうか? それとも早めの住み替えをした方がいいのでしょうか?

樋口:住宅というのは、暮らし方であると同時に生き方の器でもありますから、人生100年という時代に自分はどう生きるのかを考えておく必要があるのではないでしょうか。

溝口:基本的にどちらがいいかは、個人で決める問題だと思います。
高齢期に向けて、今住んでいる家を全面的にリフォームして安心して住める家にしたいという考えの方がいらっしゃいますけど、ただ建物を安全な住まいに作り変えることだけなら簡単にできるんです。
でも、私は「施主さんがこれからどういう生活をしていこうと思っているのかを、しっかり考えて伝えていただかないと設計できません」と、いつも申し上げています。
まず、住まい方の前に生き方を考えておかないと、生活をするための器というのは見えてこないと思いますから。

樋口:世代によって考え方が違うということもあるでしょうが、2世帯住宅の需要は多いですか?

溝口:仰るとおり、最近また2世帯のニーズが増えてきています。
いろいろな条件があるかと思いますけど、経済的な問題が大半なのではないかと思います。親の高齢化という問題も当然抱えていると思いますけど、子世代がどういう場面の中で親を見守る必要が出てくるかなど、その辺をしっかりと抑えておかないとハードに対応できません。
2世帯住宅の設計相談が一番難しいんですよ。同じ場所で親世代と子世代の両方から意見を聞いても、本音が出てこないので。しかし、それぞれはっきり本音を出してもらわないと、後で必ず問題の起きるような住まいになってしまうことが多々あります。

<パネリスト:天野 久美子氏>

天野:お住まいになっていた元の環境に戻っていただくための支援をするのが老健施設なんですけれども、2世帯住宅にお住まいになっている方も多いですし、同一敷地内の別棟で住み分けている方もいらっしゃいます。同じ家の中で世帯分離を完全にしていなくても、生活を分離することはできるんですよね。ハード上は居間が一緒になっていても、時間差で使い分けるとか。
ハードの問題もあると思いますが、やはり、そこに住む家族がどういうルールで暮らしていくかということが重要なのではないでしょうか。

介護予防とコミュニティと『集い方』

高室:次に集い方に入っていきたいと思います。
介護保険改正等で今話題になっている「閉じこもり予防」は、何もデイサービスに行くだけではなく、地域の人が高齢者の家に出かけていくことも有効なのではないかと思います。

樋口:一つひとつの住宅の問題というより、地域全体で見守れるような状況をどう作るか。最終的には住宅の問題というのは、町づくりに繋がっていくと思っております。
FJCの方には、町づくりにも参加・発言できる実力をぜひ持っていただきたいなと思います。

<パネリスト:溝口 千恵子氏>

溝口:地域に開かれた住まいづくりを、もう一度見直さなければならないのではないでしょうか。最終的に介護が必要な高齢者になった時には、外部の支援者が家を職場として出入りするわけですから。地域に根付いた時から、地域の人々との交流を保って年老いていくという仕組み、それが可能な住まいを考えていくべきだと思っております。

天野:コミュニティの力を何とか復活させたいと思うのですが、その拠点として新しいものを作るのではなく、学校の空き教室の活用や公的な施設などを柔軟に活用できれば、みんなが集い慣れた所で集える場というの作れるんではないかと思います。

樋口:高齢者の家が集いの場になることはとても素晴らしいことだと思うんですけど、東京の今の状況を見ると危険ですよね?
デンマークでヘルパーの巡回を見せてもらったんですけど、ドアに真鍮製の頑丈な機器が取り付けてあり、それをマスターキーで開けると、その家のカギが取り出せるようになっているんです。
ピンポーンでハイハイと出て来れるような要介護度ではないんですから。しかしながら、まだ日本は在宅というと、中から開けてくれる別の家族がいるという考えなんですよね。

溝口:「部屋の中からスイッチ1つ押すだけで玄関のドア、アルミサッシ等のカギを開けられる商品はないですか?」という要望が多くなってきています。
実際に商品が出ておりますけど、20〜30万円と高額なんです。そこまで出せないという方が多くて……。カギは非常に大きな問題になっていると思います。

樋口:これからはカギの工夫1つにせよ、どうすれば日本的に安全であるかを考えてほしいと思います。
あと、ヘルパーに来てもらっている人で意外と困っているのは、「どこに何がありますか?」と何度も聞かれること。そういう意味からも日本の住宅の造り方を直さなきゃいけないと思ってしまいます。
ヨーロッパなどでは、住宅の標準化というのが進んでいて、見ず知らずのヘルパーでも聞かなくてもわかるというんですね。
ここもFJCの出番だと思うんですけど、「これここマップ」という見取り図を作ってほしいと思います。素人は思っていても平面図で書くのは難しいですから。

溝口:「これここマップ」は頭に入れておきますが、ホームヘルパーさんは申し送り書みたいなものを、訪問したお宅に残していかないものなんですか?住宅改修の現場でヘルパーさんが書いている場面を見たことがないんですけど。

天野:本来は残しておくべきものです。
誰が行っても同じサービスができるように、家事援助であれば、食材や調理器具のある場所というのは申し送られるようになっているはずですが、実際には申し送りされていない場合が多々あるようです。

高室:基本的に「個別援助計画書」というものを作成して、ケアマネさんを中心としたサービス担当者会議で、お互い共有するというのが決まりにはなっているんですよ。

FJCの役割・取得目的を見つめ直して

樋口:住宅は「場」だと思うんです。地域という「場」、介護を受ける「場」、プライバシーを守る「場」、コミュニケーションの「場」。
そういった意味で、FJCはいろいろな職種をコーディネートしていく立場だと思います。
公募の委員などを大抵の地域で募集していますので、ぜひFJCが地域づくりや福祉計画づくりに名乗りをあげ発言する場を確保して、会全体としての発言力も増やし、高齢者の幸せに繋がるようにしていただきたいと思います。

溝口:検定試験を受けられた方の意見を直接聞くという機会が今までありませんでしたが、多くの熱心な方がスキルアップをめざしているということに、大変感心しております。
高齢社会の中では、FJC2級レベルの知識をすべての人が勉強すべきではないかなと、私個人的には思っています。
しかし、FJCの2級を取得したからといって、どこかで仕事ができるかというと、そんなことはありません。取得の目的はいろいろあったと思います。それぞれの立場で学んだことを活かしたり、この資格を次のステップにするなど、もう一度、取得の目的を意識していただきたいと思います。

高室:FJCは学びと知識のペーパー試験なんです。実地試験ありませんよね?
FJCを建築士や介護福祉士、ケアマネなどの基礎資格のプラスα、主婦の方などの暮らしのプラスα、定年後の生きがいのプラスαなど、いろいろな機会を得るための資格と捉えると、また一つ広がりが出るのではないかなと思います。

天野:ケアマネとFJCの役割は共通しているところがあるなと思うんですね。専門家たちの繋ぎになって調整していくのが役割ですから。
また、これからは認知症による介護が必要な方が増えてきます。私が所属しているケアマネ研究協議会でも、認知症の方のための住環境はどうあるべきかをテーマに研究を始めようかと思っているんですけれど、ぜひFJCの方々にも一緒に考えていただきたいなと、幸せな老後を守っていくメンバーとしての期待は非常に大きいと思います。

樋口:今、介護の世界は激変の時です。ニュース等でご承知だと思いますが、ヘルパー2級はおそらくなくなり、介護福祉士に統一する方向にあります。
在宅の介護を考えると、住宅に関する知識というのはハイレベルの介護者になるための一つの条件になっていくだろうと思います。
資格をどう活かしていくのか、活かす場がどうできてくるかということは、むしろ協会の方がしっかりと情報提供してくださるように、ここにお願いしておきます。

 

樋口 恵子氏 プロフィール
東京・高齢社会をよくする女性の会代表。FJC協会理事。
東京家政大学教授を経て、「女性と仕事の未来館」初代館長をはじめ、総理府男女共同参画審議会委員など多数の公職を務める。

溝口 千恵子氏 プロフィール
東京・高齢社会の住まいをつくる会副代表。
老人福祉施設の設計に携わり、高齢者住環境研究所を設立。高齢者の住宅改造は1万件を超える。「ちょっとしたリフォームでバリアフリー住宅」「ケアプランに欠かせない改修モデル」等著書多数。
当協会理事。

天野 久美子氏 プロフィール
財団法人天誠会 介護老人保健施設小金井あんず苑施設長。
看護師。ケアマネジャー。
NPO東京都介護支援専門員研究協議会理事、ケアの質を考える会会長。
当協会理事。

高室 成幸氏 プロフィール
ケアタウン研究所所長。
『新しい福祉人材育成、地域支援システムの構築』を中心に活動中。
当協会理事・研修企画委員長。
 
≪「女性FJCへの期待とその役割を考える」集い <1> :基調講演≫
資料提供:ふくしチャンネル

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