福祉住環境コーディネーター協会とは、東京商工会議所、NPO法人「生活・福祉環境づくり21」などの関連団体の支援により、
福祉住環境コーディネーター検定試験の合格者が、真に役立つ人材として認知され、活躍できる状況を目指し、
相互連携、個々のスキルアップ、情報の収集・発信等を行うため、平成14年5月に設立された団体です。
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福祉住環境
コーディネーター協会
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 −特集− 住環境から排泄を考える
 福祉住環境に関するお役立ち情報コーナーです。

むつき庵パンフレットオープンしてから3ヶ月で、むつき庵の来館者は500名を超えました。
注目されている背景には、福祉住環境コーディネーターや福祉用具専門相談員の資格取得者の増加とともに、専門的知識や普及が進んでいる福祉用具に比べ、排泄に関する用具の展示・相談できる場がほとんどないという現状がみえます。そこで、むつき庵はカタログや写真を見るだけでなく、排泄に関わるすべての用具を展示し、実際の生活の中で試用できる場となることをめざし、開設されました。
 

  ※写真はクリックすると大きいサイズで見れます。
しっかり排泄できることは暮らしの基本

「漏れては困るから・・・と大きなおむつをしたり、吸収量のいいおむつを使ったりしている方が多いのですが、本当は必要な用具が何なのかをちゃんと見極めることが必要なんです」と、語るのは館長の浜田きよ子さん。
一言で「排泄」といっても、便器や手すり、衣服、ベッド、移動動作、移乗動作、適切なおむつの種類など、いろいろなものが関係しあっています。そのために、「一つひとつの動作を洗い出していくことが大切」と浜田さんは強調します。
「住環境の不具合が原因でトイレに行かれないと判断し、おむつになるケースが多いんですよ」

引き込み戸A
引き込み戸B
引き込み戸

むつき庵には「デモンストレーションサニタリー」が設置され、住宅改修を考えている場合に、どの動作に問題があるのかを検証することができるようになっています。
例えば、トイレのドアが外開き戸の場合、どうしても体を少し引かなければ入ることができません。この場合、よく考えられるのが引き戸ですが、むつき庵では省スペースで体をほとんど動かさずに開閉できる「引き込み戸」を採用。足に障害があっても、車いすであっても入りやすいトイレになっています。
また、廊下とサニタリーをつなぐドアも改修。以前は内開き戸であったものを引き戸にし、廊下が狭く、車いすが曲がりにくかったため、引き戸の位置も変えました。

「便器にバックレストとアームレストがあれば、前傾の排泄姿勢を保持することができ、かなり楽に座っていられるようになるんですよ」。
一般的な便器の多くは、高齢者には座面が高いために、座位が不安定になり、排便姿勢が取りづらくなります。この問題は、手すりや便器など用具をうまく組み合わせることで改善可能です。
トイレと住環境の関係は密接。おむつの着用は次善の策と考え、まずは住宅改修やトイレの環境を見直し、できる限りトイレを使う方策を講じるべきといえます。

トイレまで移動することが困難になった時、とるべき策はポータブルトイレの使用です。この場合、移乗が重要な排泄動作になります。
「ポータブルトイレの形状や重さなどによって、乗り移りやすさや座り心地が違うため、適したものを見つけることは大変です。むつき庵では15台展示し、さまざまな種類を試すことができるようにしています」と浜田さん。
1階奥の和室にはベッドが置かれているので、実際に選んだポータブルトイレを使って、ベッドからの移乗動作も試すことができるようになっています。

「要するに排泄ケアとは、単におむつ選びをするのではなくて暮らし全体を見て、その人がどんなものであれば、気持ちに負担がなく、介護も楽になるかを考える総合的なケアなんです。おいしく食べることが暮らしの基本であるように、しっかり排泄することも暮らしの基本ですから」。

展示場だけど「住んでみたい!」

浜田さんが「むつき庵のとっておき」というのは玄関の上がりがまち。当初、車椅子の来館者には、20cmある上がりがまちを電動昇降機や可搬式スロープで上がってもらおうと考えていたそうですが、「昇降機は高価だし、もっとユニバーサルなものがいいな」と思い、ビルトインスロープを採用。
必要な時に必要な人だけが使えて、誰にも負担をかけることがないようにと、一般家庭に不可欠な配慮を考えたつくりになっています。
ビルトインスロープ・閉時 ビルトインスロープ・開時

これほどまで、浜田さんが「暮らし」にこだわるのには理由があります。
浜田さんの母親は糖尿病が悪化して入院した際、医師の薦めでおむつをするようになってから1ヶ月ほどで亡くなってしまいました。「おむつを嫌がっていたのに・・・これでよかったのだろうか」との想いがきっかけで、排泄ケアや用具に携わるようになったそうです。
「これからの高齢社会に大切なことは手厚い介護ではなく、その人らしい暮らしをしっかりと考えることが大切なんです」。

その確信は、むつき庵の最大の特徴といえる約250種類のおむつの展示にも表れています。
「おむつを買って家で使ってみたら合わなかった」、「このおむつは症状に合っているのだろうか」などの声が多く寄せられ、やはりいろいろなおむつを手にとって見られて、かつサンプルで試せることが大切なんだ、と実感したと浜田さんはいいます。
しかし、市販されているおむつの8割にあたる量を普通の家に展示するため、どうすれば圧迫感がなく、また見やすくできるか悩んだそうです。改修を依頼した建築家と相談し、斜めにスライドできる棚を壁に設置することで解決しました。

これらの改修に際し、浜田さんが特に要望した点は「家の雰囲気を壊さず、多くの人の参考になるようにすること」でした。単なる展示場では、トイレのドアやベッド、ポータブルトイレなどの大きさや使い勝手がわかりにくいと考え、身近に感じられる民家を「あえて選んだ」のです。
その想いが来館者に通じ、「トイレとお風呂、和室の工夫がとても参考になる」、「本当の家だからわかりやすい」と好評。
「あまりの居心地の良さに、宿泊したいという申し出もあるんですよ」と、語る浜田さんの笑顔にむつき庵に対する手応えと自信が感じられました。

むつき庵1階平面図

設計:神部貴彦デザイン研究所/構造規模:木造2階建て/占有面積:78.67u

エントランス

<エントランス>
玄関ドアを外開き戸から、大きなガラス引き戸に改修。狭かったエントランスを広げ、車いすが回転できるようにしました。

商品展示室

<商品展示室>
23帖のLDKを商品展示室と事務スペースに分割。
紙・布おむつや、尿器や衣服なども整然と並べられています。

便所

<便所>
手元のボタン一つで流せる便器と、据置式の手すりを設置。
足元には滑り止めのマットをひいてあります。

浴室 <浴室>
リフトやトランスファーボードなど、入浴介護に必要な用具が揃っており、水着を持参すれば、実際には入ることができます。「浴槽の中の動作は浮力で変わりますからね」と浜田さん。
模擬寝室 <模擬寝室>
ベッドをすっぽり囲えるスクリーンを設置。
プライバシーの問題を考えることも必要です。
庭園 <和室>
京都らしい庭園を眺めながら、ホッと一息つける和みの場です。
 

浜田きよ子 さんプロフィール
1995年高齢生活研究所を設立、高齢者の暮らし用具選びや介護、用具開発などアドバイスを行う。2003年、介護用品や排泄用品のメーカーが賛同し、排泄総合研究所を設立。
著書に新刊「介護を超えて」(NHK出版)、「シニアに便利な生活グッズ」(昭文社出版)など多数。
 
資料提供:ふくしチャンネル

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