今回は神奈川県の特定非営利活動法人 地域住環境改善センターで福祉住環境コーディネーターの資格を活かしながら活動している池田直子さんにお話をお伺いしました。
障害者・高齢者の方達や身体が不自由になった方達の生活に関わるさまざまな専門家があつまってできた団体です。 活動地域は神奈川地区・多摩地区・埼玉地区で、障害者・高齢者及びその家族に関して、住まいづくり・まちづくりの支援活動を行い、安心して暮らせる環境をつくることにより、地域の活性化に寄与することを目的としています。
・住まいづくりの訪問相談、住宅改修プランニング、計画図作成及び施工・管理 ・福祉制度にふまえた住宅改修や福祉用具に伴う申請支援 ・資格取得支援教室(福祉住環境コーディネーター2級)及びセミナー等の開催 ・年6回のフォローアップ勉強会の開催
住宅改修事例 「体に合わせた福祉用具からの出発」
まず、Aさんには頚椎損傷のため四肢に麻痺が残り、強い拘縮もあるために体幹バランスが保てないため、安全に座れるように座位保持機能のある車いすとクッションが必要でした。Aさんは介護保険受給権者なのですが、一般的な介護保険のレンタル対象の車いすでは、もちろん対応できません。又、すでに購入された福祉車両とのシート高のマッチングの問題もあ り、選定の条件は厳しいかなと思いました。 障害福祉で申請しても介護保険受給者の場合の助成はほとんど下りないのですが、やれるところまでやってみようと座位保持・褥瘡対応(シーティングとよばれる技術)を備えたクッションと体に合わせられる車いすの申請をすることにしました。
Aさんの主治医は福祉用具の大切さに理解を示し、異例ですが意見書を書き直してくれました。さらに、家族やケアマネさん、車いすメーカーや行政の方も協力してくださり平塚市では初めて提案書を添付して「介護保険受給者の座位保持装置」の申請をしてみました。その結果、これもまた平塚市で初めて申請が通り、市の「前例」をつくることができました。次の障害高齢者の方の申請が通りやすくなることも考えられますから、二次的な効果が期待できるでしょう。
車いすの高さや機能がおおよそ決定し、その寸法をしっかりと把握してから、玄関や床材の変更などの住宅改修に入りました。座位保持装置付きの車いすは、普通型車いすより高さがあるため、住宅改修前の福祉用具導入プランなどには注意が必要なんです。 さらに、レンタルベッド等を当センターでお出ししましたが家族が希望されたベッドリフトが提携先の商品ではなかったため、他の業者さんに私たちからレンタルを依頼したんです。一般的には提携業者のカタログの中から選び、多少の無理があってもあてがってしまうところが多いでしょう?当センターでは利益や指定業者などの枠を越えて、利用者と家族主体のトータル的な支援を心がけていますので、まず訪問してお話を聞きながら身体状況をみせていただいてから適合判断の結果、体に合わせた福祉用具をどの業者さんからでも探せるようにしています。導入時はAさんに合わせた用具の説明と、その用具をどう使うことによって、どんなことができるようになるか等をケアマネさん、ヘルパー事業所さんに集まっていただきデモンストレーションをしました。もちろんご家族が使用方法に合わせた介助方法を福祉従事者にご指示していただけるようになっていただくことも大切なチームアプローチの必要した。 どんなに良い機能をもつ福祉用具も、どんなに知識や技術があったとしてもそこに「思い」がなければ利用者さんの笑顔はいただけないと日々感じています。 現在、初回相談から約1年が経過しています。定期的な訪問と車いすメーカーさ んとの連携で、細かいメンテナンスも当センターで提供できるようなシステムを作り上げてきました。住宅改修と福祉用具は、相互作用をもたらす切っても切り離せない関係です。今後とも地域福祉全体のスキルアップを目標にしながら、営利企業などの業者や医療・福祉、行政とNPOが協力し合って地域に根ざした継続支援活動の向上に努めたい思いです。なにより利用者さんと最適な福祉用具が出会えるような橋渡しをめざしていきたいと思っています。
住宅改修における活動の流れ
センターに来るご相談は、ケアマネさんや行政担当者であったり、医療機関のPTさんやCWさん、福祉分野のNPO、また、直接ご本人やご家族の方からなど様々です。 現場に携わってからは、建築担当のFJCが、ご本人やご家族の方との信頼関係を大切に、身体が不自由になる前や日頃の生活状況、 趣味や若い頃のお仕事など和やかにお話を聞かせていただくなかで、情報提供をしたり、プランの打ち合わせを了解のもとに進めて行きます。 訪問前後で福祉用具導入の必要性がありそうな時には福祉用具担当の私が加わり、センター内での連携を取り合いながら、求めておられる機能にあった福祉用具の提案と改修のプランニングを進めて行きます。そこで常に気を配っているところは、いかに福祉用具を考慮した適切な住宅改修を、ご本人やご家族の気持ちと一緒に、関係されている各専門分野の方々と進めて行けるかということす。
もちろん専門知識も必要であるかと思いますが、コーディネーターとして各専門分野の方々と連携する中で、ご本人やご家族の「やりたいこと」を「できること」へとつなぐプランをチームアプローチとして心を込めてコーディネートして行くことが大切な役割だと信じて日々活動しています。